言ったところで困らせるだけだと思ったから。 もちろん皐月は悪くない。 悪くないのだけれど――。 人気者の隣にいるというだけで、私は勝手に比べられてしまう。 皐月は眩しいほど完璧で、私は何の取り柄もない地味な女の子。 並んで立てば、その差は嫌でも目につく。 鏡を見るたびに、自分だけ色褪せて見えてしまうことさえあった。 朝の洗面所で映る自分の顔を見るたび、 「どうして私はこんななんだろう」 と胸の奥が冷たく沈んだ。 だから私は、できるだけ目立たないようにしている。