お互いに何も言えない。 視線が合う。 照れくさそうに目を逸らして。 また見つめ合う。 そんなことを繰り返してしまう。 その時。 腰に回されていた皐月の腕がぐっと引き寄せられる。 「え……?」 驚いて見上げる。 だけど皐月は何も言わない。 ただ静かに。 私を抱きしめた。 皐月の胸元に自分の頬が触れて、 規則正しい鼓動が聞こえた。