皐月は一歩私に近づいた。
「俺から離れるなんて絶対に許さない。」
周囲の女子たちがざわつく。
けれど皐月は気にしていない。
真っ直ぐ私だけを見ていた。
「俺が人気とかそんなの関係ない。」
「……皐月。」
「俺には花梨が.....花梨だけが必要だよ。昔も今もこれからもずっと。」
その言葉に心が揺れる。
だけど私は首を振った。
そんなことを言われたら困る。
期待してしまうから。
自分にも価値があるんじゃないかと勘違いしてしまうから。
「も...もういい、とにかく私は伝えたからね。」
私は小さく呟いた。
「花梨。」
「先教室行くから。」
逃げるように足早にこの場を去った。
背中に視線を感じた。
皐月の視線。
周囲の視線。
全部振り切るように足を速める。
だけど胸の鼓動だけは、いつまでもうるさく鳴り続けていた。

