「あの夜の日からずっとこうしたかった」 小さな声が胸に落ちる。 私はすぐには何も言えなかった。 ただ小さく息を吐く。 それだけで精一杯だった。 でも怖さはもうなかった。 代わりにあるのは、あたたかくて少しだけ恥ずかしい気持ちだった。 そっと皐月の背中に手を回す。 離れたくないっていう気持ちのまま。 皐月はそれに気づいたみたいに、少しだけ腕の力をゆるめる。 でも離さない。 「……ねえ」 やっと声が出る。 皐月がすぐに返事をする。