俺は一歩花梨に近づく。 花梨はもう逃げなかった。 いや逃げられないだけかもしれない。 でもそれでもいい。 「伝わるまで何回でも言うよ」 声が少しだけ震える。 でも止めない。 「俺は花梨が好きだよ。女の子として。」 今度は迷わない。 言葉はもう逃げない。 静かな時間。 花梨はまだ何も言わない。 ただ立っている。 その目が揺れたまま止まらない。 やっとここまで来たのに。 まだ終わりじゃない。 この距離が近づくのか、それとも離れてしまうのか。 その分かれ道のほんの手前だった。