常夏の甘い恋を、キミと。 〜どうやら恋の始まりはお互いフェチだった模様です〜

いやいや何よこの状況。よくよく考えてみれば、私知らない男の人をガン見して、そして男の人に勘づかれて、そのまま向かい合っている構図じゃん。
うん、カ・オ・ス。
…………じゃなくて!

「あの、私、小鳥遊陽葵っていいます。見かけない顔ですけど、ここの常連なんですか?」
私がぐいっとせめよると、男の人は片眉をあげたけれど、へらりと笑って答えた
「ん〜、たまに寄る程度だよ。ってそれより随分積極的だねおねーさん。ここまでストレートなのは初めてだよ。」
「…………あ、そうですよねすみません迫ってしまって。」
私としたことが、ついついこの奇跡の腕に見惚れてしまって順序を間違えたらしい。だめだね、これは酔いかもしれない。
「俺は桐生侑李(きりゅうゆうり)。見かけない顔って言ってたけど、俺はよく見るよ?おねーさんのこと。」
「えっ?そうでしたっけ………?すみません記憶にございませんでした。」
「ぷっ、あはは!マジで記憶ないの?俺とおねーさん、同じ大学だよ?ちなみに俺は大学2年生。おねーさんは、大学3年生、だっけ?」
「あ、はぁ、そうですが…………、ってはぁぁぁぁぁっ⁉︎」
なんてこった、私とこの男の人は同じ大学だったらしい。え、世間って狭いね。あと何かなこの状況は。
それにしても、こんなにイケメンなら有名になるもんじゃないの?
「あー、ははっ。久々にこんなに笑ったかも。面白いね、気に入っちゃった。良ければ連絡先交換しない?」
「えっ、ぜひお願いします!」
妖しげに笑った男の人………改め桐生くんに食い気味で頷くと、彼はまた笑った。
(これはまたとないチャンスよ陽葵。私の好みのタイプがわかるかもしれないっ!)
小鳥遊陽葵、合コンで良い人を見つけられず落ち込んでいたけれど。
彼を参考に、何かいいのがわかるかもしれないっ!

意気込んだ私を応援するかのように、夏らしくて暖かい夜風があたりを吹いた。