常夏の甘い恋を、キミと。 〜どうやら恋の始まりはお互いフェチだった模様です〜

(な、何この完璧すぎる腕はぁ〜っ!)
そう、私の視線は、目の前にいる青年の腕と手に注がれていた。
腕は太いわけではないけれど、細くてひょろっとしているわけではない。中間でちょうど良く、筋肉が程よくついている。
マッチョのゴリゴリ男っぽさではない。でも、あの頼りない感じがするわけでもない。
私の頬は、急激に上昇し、まるで私の手の中にあるカシスオレンジ並みに鮮やかな赤色に染まり上がった。
私がレジから立ち去ることなく不自然に固まっていると、その男の人は蠱惑的な笑みを浮かべた。
「ん?おねーさん、俺に見惚れちゃってる?相手してあげる、でもごめん、せめて酒は買わせて?」
「えっ、あっ、は、はい…………。」
違います、あなたの顔じゃなくてあなたの腕に見惚れているんです!だなんてふざけたことは絶対に言えない。
私は一歩引いたところでその人の後ろ姿を眺めた。
(待って、あの腕すっごいタイプなんだけど。どうしよう、あの腕に抱かれたいかも。っていうか造形すごすぎない?これは国宝級でしょ、ルー◯ル美術館行きでしょこれは。)
どうやら私は遅れて酔ってしまったのか、頭の中でわけわからないことを考え始める。
ただ唯一、わかることは。
この男の人(の腕)は、私のどタイプだってこと。



「で?おねーさん、さっきから熱視線だけど、大丈夫?」
「あ、だいじょばないです…………。…………、ってかあなた誰ですかっ⁉︎」
店の中で放心状態で突っ立っていると、会計を終えた男の人にそのまま連れられて店を出た私。
ようやく今の状況に気づいた私は、我にかえった。