出して

夜、両親から帰りが遅くなると連絡があった。私は、家宝の刀がしまわれている、入ってはいけない奥の和室に入った。すると閉まっているはずの引き戸がわずかに開き、隙間から青白い女がこちらを覗いた。恐怖で逃げ出したが、翌朝父は笑った。「あの部屋に女なんていないよ。刀しか置いてない。もう入ってはいけないよ」それでも気になった私は、昼にこっそり入り引き戸を開けた。内側いっぱいに爪で『出して』と刻まれていた。