数秒後。 伊織は小さく息を吐いた。 「少しだけ電話してくる」 そう言って離れていく。 私は廊下で待つことにした。 すると。 電話越しの声が少しだけ聞こえる。 「だから無理だって」 苦しそうな声。 そして。 「俺ばっかり頼らないでよ……」 その言葉に私は息を呑んだ。 いつも誰かを支えている伊織が。 今は誰かに追い詰められているように見えた。