私は思わず物陰に隠れた。 盗み聞きするつもりはなかった。 でも。 いつもの伊織と全然違ったから。 「それなら母さんに言って」 冷たい声。 笑顔なんてどこにもない。 私は信じられなかった。 あの伊織が。 誰にでも優しくて。 いつも笑っていて。 生徒会でも空気を和ませている伊織が。 まるで別人みたいだった。