放課後。 私は教室に忘れたスマホを取りに戻っていた。 窓の外はオレンジ色。 もうすぐ日が暮れそうだ。 廊下にはほとんど人がいない。 静かな校舎を歩いていると。 ふと声が聞こえた。 「だから言ってるだろ」 低い声。 私は思わず足を止めた。 聞き覚えがある。 角の向こう。 誰かが電話をしていた。 「今日は帰らない」 少し苛立ったような声。 私は目を瞬く。 その声の主は――。 朝比奈伊織だった。