二人で教室を出る。 廊下を並んで歩く。 不思議だった。 今までなら沈黙が気まずかったのに。 今日は違う。 すると。 昇降口の前で珀翔が立ち止まった。 私は振り返る。 「今日のこと」 珀翔が口を開く。 「誰にも言うな」 真剣な目だった。 私は頷く。 「言わない」 すると。 珀翔は少しだけ安心したように目を伏せた。 そして。 「……ありがとな」 そう言って先に歩いて行った。 私はその背中を見つめる。 胸の奥が少しだけ温かかった。