「簡単に言うな」 小さな声だった。 怒っているわけじゃない。 むしろ逆だった。 追い詰められたような声。 「俺だって考えた」 朔斗は俯く。 「何度も」 拳が震えていた。 「でも無理なんだ」 私は何も言わなかった。 ただ聞く。 「俺が継がなかったら」 「家がどうなるか分からない」 「社員だっている」 朔斗は苦しそうに笑った。