『お前は如月家の人間だ』
『好きなことをするために育てたわけじゃない』
『責任から逃げるな』
その言葉が。
今でも頭から離れない。
朔斗は拳を握る。
「それから言わなくなった」
私は何も言えなかった。
ずっと一人で抱えてきたんだ。
「本当は」
朔斗が小さく笑う。
「一回くらい自分で選んでみたかった」
その言葉が。
どうしようもなく切なかった。
私はそっと朔斗の手に触れた。
「まだ遅くないよ」
朔斗が目を見開く。
私はまっすぐ見つめる。
「朔斗くんの人生でしょ」
風が吹く。
朔斗は何も言わなかった。
ただ。
初めて少しだけ救われたような顔をしていた。



