「そんなの最低だよ」
店内が静まり返る。
美羽は何か言おうとした。
でも。
言葉が出ない。
私は玲夜を見る。
玲夜は固まっていた。
今まで誰も言ってくれなかった。
元カノを責める人はいても。
玲夜の味方をしてくれる人はいなかった。
「帰ろ」
私は玲夜の腕を引いた。
玲夜は抵抗しなかった。
ただ。
黙ったままついて来た。
店を出た後も。
しばらく二人とも何も言わなかった。
そして。
玲夜が小さく笑う。
「なんであんな怒ったの?」
私は即答した。
「ムカついたから」
玲夜が吹き出す。
久しぶりに。
本当に楽しそうに笑った。
「そっか」
夕陽の中。
玲夜は初めて思った。
守りたいと思ったのは。
もしかしたら。
うるあの方かもしれない、と。



