私はもう一度頭を撫でた。 「もう十分頑張ったよ」 優しく言う。 その瞬間。 伊織は堪えきれなくなったように目を閉じた。 そして。 気付けば私の肩にもたれていた。 「伊織くん……」 私は驚く。 でも。 離れなかった。 伊織は顔を伏せたまま泣いていた。 小さな子どもみたいに。 何年も我慢していた感情を吐き出すみたいに。