「家にいると疲れるんだ」 その言葉に私は息を呑む。 伊織は苦笑した。 「変だよね」 「みんな家は落ち着く場所なのに」 夕陽が差し込む。 伊織の横顔はどこか寂しかった。 私は何て言えばいいか分からない。 だけど。 一つだけ言えた。 「変じゃないよ」 伊織が顔を上げる。 私は笑った。 「少なくとも私はそう思う」 伊織は少し驚いた顔をした。 そして。 本当に少しだけ。 力が抜けたように笑った。