作業が終わった後。
私は廊下を歩いていた。
すると。
前方から珀翔がやって来る。
すれ違う。
そう思った時だった。
「……うるあ」
私は足を止めた。
振り返る。
珀翔は少しだけ気まずそうだった。
「さっきは悪い」
私は目を丸くする。
「重かったから」
それだけ言う。
でも。
私は思わず笑った。
「知ってるよ」
すると。
珀翔は一瞬だけ目を見開いた。
そして。
ほんの少しだけ口元を緩める。
「……ならいい」
そう言って歩き去る。
私はその背中を見つめた。
少しずつ。
本当に少しずつだけど。
珀翔くんとの距離が縮まっている気がした。



