金木犀の奏鳴曲(ソナタ)

「MHKコンクールは開催日が8月に繰り上がったんだな。前は10月下旬だったのに」

「留学の時期との兼合いがあるからでは?」

ーー詩月は色恋に疎い

ビアンカは動画を撮りながら、いつも思う。

詩月は曲を初めから演奏し始めたが、ビアンカは詩月が先ほどの電話の相手のことをどう思っているのかが気になっていた。

電話の相手は詩月にズケズケ物を言ったけれど、詩月を心配しているのが伝わってきた。

ビアンカは彼女がコンクールに優勝して、ウィーンで詩月と演奏できればいいと、応援したくなった。