麗しい公爵令息様に選ばれたのは何もしない子だった!?

 ある日公爵家が宣言をした。


「私の息子、ジェラールの妻になるものを一週間後、公爵家で決めようと思う!」



 突然の宣言に令嬢達は色めき立った。


 何故ならジェラール様とは完璧な令息と言われ、貴族学校主席卒業、王太子様の側近を務め、さらに超美男子であり、そしてどんな方にも優しいのだ。



 さらに公爵家は言う。


「遺恨無きよう、適齢期の女性、つまり15歳から25歳の貴族の娘ならば、それ以外の応募条件は問わないものとする!」



 これにより、ワンチャンスを狙って、多くのものが募集することになったのであった……




 でもまぁ私には関係無いかな、子爵家だし、そもそも私別に何もできない子だしって事でスルーをしていたら、友人のナンシーが言い出す。



「一緒に応募するわよ、ジェラール様と結婚するのはこの私だけどね!」



 私は素朴な疑問を思って聞いた……



「あの……1人しか結婚できないのに、一緒に応募する意味は?」




「馬鹿ねぇ、あんたなんか選ばれるわけないからライバルにならないのよ!でも私1人では寂しいからね、一緒に応募しなさいよ!親友のために付き合おうって気はないの?」




 ……何か酷いことを言われているというか、ナンシーはいつもこうである。



 断れない私も悪いのだけど、こうしてナンシーのために、私も無駄だと思うのに応募することになった。



 さて一週間の間色々噂が聞こえてきた。



 どうやらジェラール様の元には上位貴族の令嬢を中心に大量に結婚申し込みが殺到していたらしい。


 まぁ当然そうでしょうね。


 しかしあまりの数の多さに、あちらを立てればこちらが立たず見たいな状況になり、さらに狂ったようにジェラール様を愛している方がいるので、断られたら暴れそうだと言うことを懸念したらしい。



 さらにだ、公爵家であるので、今さら政略結婚をする意味もなく、国内の貴族の頂点ですからね、それより上は王族しかおらず、その地位を脅かすような謀反に繋がることもしないのであれば、事を荒立てたくないだけなようで……



 ということで王家に相談したらしい。



「ジェラールの結婚先について、いっそ王家が指定して頂けないでしょうか?それならば角が立たないので!」


 しかし王家も下らない痴話喧嘩になりかねないことに付き合いたくないと見えて、



「いっそ公開して募集すれば良い、これによって天下一の女を求めていると言う形式にして文句を言わせなければいいのだ!王家がそれを保証してやる!」




 これによって決まったらしい。つまり陛下公認の公募となったので、この決定に文句を言えば謀反人になるということで、恨みっこ無しになったわけである。




 こうして一週間後、公爵家の元に多くの貴族令嬢達が集まった!


 というかよく見たら、婚約者がいた方、結婚している方までいるでは無いか!



 私が唖然としていると、公爵様とジェラール様が現れていきなり宣言をする!



「ジェラールのためにこんなにも集まってくれて感謝する……が最初に一言言っておく!」



 公爵様が宣言をする。



「まず一週間前に婚約者がいたもの、結婚をしていたものは全員帰ってもらう!」




 ええ!?と悲鳴が上がり1人の令嬢が抗議をする!



「もう離婚をしましたわ!私こそジェラール様と結婚をするのよ!」




「……申し訳ないがそんなトラブルになるようなことを平気でする女性と結婚はできない!」



 ジェラール様のもっともな主張の前に、茫然としつつも、納得いかない顔をしている令嬢がたくさんいるが……


 公爵様が、「今回の件は王家公認である!私の決定に逆らうのは公爵家だけでなく、陛下をも敵に回すことになるのだぞ!」


 とはっきりと脅すので、流石の発狂令嬢達も、スゴスゴ引き下がるしか無かったのであった……



 ナンシーは私に言う「馬鹿ねぇそんなことも分からない馬鹿が結婚なんてできるわけないじゃない!私のようにジェラール様一筋じゃないとね!」



 いやいや、私達子爵家が相手される方じゃないと思うんですけどね……



 やはり適齢の女性となるとすでに相手がいた人も多かったらしく、3分の1のものがこれで退場になった……


 いいのか?そんなにも浮気者がいて……と私は唖然としたが、


 公爵様も同じ気持ち?らしく「まったく何を考えているんだ嘆かわしい!」


 などと憤っておられた。しかし公爵様は流石と言うか……



「まぁ良い、そういう軽薄な女と婚約や結婚をしていた男は、上手く別れるきっかけがあって良かったなって公爵家は言い張ってやる!」



 などと宣言をして、そして言い出す。



「残ってくれた令嬢の中で、帰りたいものがいたら、帰ってよろしい、何故ならこれからは過酷だからだ!」




 私は帰りたくなったので、帰りたいですって言おうとしたらナンシーが


「あんた私を見捨てる気!?」と隣で言うので、仕方なく付き合うはめになった。




 だって無理があるのに怖いことだけしたくないよ……



 そして私以外は誰も帰らなかった……



 みんな凄いね……



 こうして20人ほど残ったのだが、公爵様が言い出す。



「では何故ジェラールと結婚したいのか、誰からでも良い、言えるものから手を上げてから述べよ!」




 突然の公爵様の宣言に、流石に全令嬢がシーンとなった。


 唐突過ぎて固まったのだ……


 そして数秒みんなけん制している様子だったが、ナンシーが手を上げて言い出す!




「ジェラール様を愛しているからですわ!」



「うむ、いの一番に言い切るその態度よろしい、ただし数秒のロスが惜しいがな」


 などと公爵様に言われナンシーは「やったぁ!私の結婚で決まりね!」


 などと浮かれている。



 この様子を見て何人もの令嬢が手を上げて、



「私のほうが愛していますわ!」


 などと宣言するでは無いか……



 しかしその数人については公爵様は冷たく、



「二番煎じの上に、同じことしか言えないとか、最初の令嬢に完全に負けているでは無いか。真似しか能が無い女と結婚などさせられないな!」


 と言って容赦なく退場させられた……



 うーん厳しい!


 ナンシーはニヤニヤしながら私に「ふん、愛が足らないのよ!」などとドヤっている!



 なんだかなぁ……あり得ないとは思うけど、まさかナンシーが結婚するとかあるの?



 この時に、私はナンシーの祝福が素直にできない自分に気づいた……


 やっぱナンシーの事心から友達って思えてないんだろうなとこの時自覚した……!




 しかしここでナンシーに対して容赦の無いことを言う令嬢がいた。



「あんな頭の悪そうな令嬢と違い、私は貴族学校の成績優秀でさらにジェラール様を愛していますわ、完全に私のほうが上ね!」



 などと宣言をするものがいた!


 ナンシーはブチ切れて、



「ふん私の愛のほうが重いのよ!」などと言い返して、一色触発になったが、

 さらに他の令嬢が現れて、



「ふん、卑しい身分の者たちが下らない争いをしてるわね、同じ公爵家である私がジェラール様を愛しているのだから、私で決まりよ!」


 などと言い出す。



 他にも自分に自信がある令嬢が現れて、




「あら、やはり美しき者こそ頂点!私のように美しき女でないとね!不細工達は引っ込んでなさい!」




「貴女は背が高すぎるのよ、ヒールを履いたらジェラール様と同じ高さになってしまいますわ、その点私はジェラール様との釣り合いが取れているのだから、自分の事しか考えていないナルシストは黙ってなさい!」



「私はジェラール様が6歳の頃からの関係よ、あんた達のような後から湧いてきた泥棒猫は引っ込んでなさい!」




 こうしてそれぞれ強みがある令嬢達が激しい言い争いになった!



 私は当然として、他にも強みが無い令嬢達は困ってしまったが、



 黙っていた令嬢の1人が言い出した!




「どうかジェラール様一生のお願いです、結婚して下さい!そうしないと死にます!」



 この脅しにブチ切れたのが公爵様だった!



「たわけが!どうしてジェラールと公爵家が貴様の脅し何かに屈しないといけないのか!出ていけ!」




「死ぬんですけどいいんですか!?」



「死ね!」



 公爵様は容赦の欠片も無かった、令嬢は、



「自殺してやる!」と言って池に飛び込もうとするも、池が浅い事はバレバレで死ぬ死ぬ詐欺はバレているらしく、ジェラール様も、



「先ほども言っただろう、問題を起こすものとの結婚はできないと……」



 こうして退場になった。



 私は思った、みんなあの手この手で凄いなぁと……




 そして自信がある令嬢が言い争いをしている中、黙っている数人に、ジェラール様がたずねて下さる。



「君達は何か言いたいことは無いのかな?」



 ナンシーが「ジェラール様?愛が足らないものの相手をするなんてお優しすぎますわ!でも私を見て下さる!?」


 などとアピールをするもジェラール様は、



「まぁ良いでは無いか、せっかくだから私は話を聞きたいのだ!」


 と言い出すので、全員がジェラール様の寛容さに、さすがだと思うのであった!




 しかし1人の令嬢が、「どうせ私は何も無く、泣いたら怒られるしどうしたら……」



 と半泣きをするので、公爵様が「最初にいっただろう!過酷であることを覚悟しろと、それが嫌ならば帰っていいのだぞ!」


 と言われ帰ることになった……!




 こうなると、残った他の何も言えない令嬢は何も言わないので、何も言えない令嬢に向かって、公爵様が仰る。



「君達は沈黙という事でいいのだな?」



「はい……」



 そして私の番になった。私は、


 もう選ばれるわけないし、怒られたくないので正直に言うことにした!




「あのですね、私身分低いし頭も悪いし、さらに友達の付き添いで来て、ジェラール様が嫌いとか一切無いんですけど、結婚なんて一切考えてないので、怒られたくないです!」




「なるほどありがとう」


 ジェラール様にそう言われ、そしてジェラール様が言い出す!




「最初に言ったように、私は問題を起こしそうな令嬢が嫌なのだ!先ほどから争いをしている令嬢達、はっきりいって問題を起こす気配しかしない!よって申し訳ないが退場してもらう!」



「そんな!?」


 ナンシーを含めて多くの令嬢が抗議をするも、公爵様が


「この決定は王家公認である!」


 と宣言したことで、全員黙って下がるしか無くなったのであった。



 そして残された私と数人の沈黙令嬢だが、ジェラール様は言い出す。



「君の名前は?」



 私に聞かれる。「はい、アンジェリカと言います!」



「アンジェリカ嬢は、私と結婚をしたくないのか?」




「いやそういうわけじゃないのですが、私が選ばれるものと思っていないので!」



「なるほど、じゃあ選ばれたら結婚してもいいのだな?」




「え?そんなことがあるのでしたら……」




「決めた、私はアンジェリカ嬢と結婚するものとする!」




「ええ!?」


 私も含めて、その場に残っていた令嬢がみんな驚いた。




「……私は完璧な令息と言われ、そのために努力もしたが、当然それは楽な事では無い。故に私が妻に求めるのは、家の中でまで苦労を求めないこと、そして元気な子供を産んでくれることだけだ!アンジェリカ嬢ならば、私への期待値が他の令嬢よりも低いから、その関係が作れる可能性が高そうだ!理由納得いただけただろうか?」




 こうして何もしない私がジェラール様と結婚することが決まった。



 私は言う「私何もできない令嬢ですがいいんですか?」



「公爵家ともなれば、仕事ができる女性は雇えばいいだけだ。またはその程度の雑務は公爵家がやることでは無い!」



「どういうことでしょうか?」



「公爵家とは、貴族の上層であるので、やることは王家の代わりに貴族共を管理することだ、つまり直接的な実務をやると言うことは少ないのだよ!」



「なるほど!?」



「だからこそ、問題を起こすような令嬢では困るし、私が私がみたいな令嬢も困るのだ、だから君と結婚をするのだ!」



 こうして何もしない令嬢の私は、ジェラール様と穏やかに愛されて幸せになりましたとさ。



 ちなみにですが何もしない令嬢なら沈黙令嬢だって同じでは?と後になって思い出したので聞いたのですが、ジェラール様曰く、


「彼女らは、他の令嬢に圧倒されて沈黙しただけで、もしも自分が勝てる状況ならばマウントを取っただろうから」



 なるほどジェラール様の優しいお姿とは裏腹に、内面は厳しいのだなぁと思ったのであった!