「六花ちょーだい。」
横から蓮の声がした。
僕が振り返るより早く。
蓮は僕の腕の中にいた六花をひょいと抱き上げる。
「えっ――」
六花が小さく声を漏らす。
そして次の瞬間には。
完全なお姫様抱っこだった。
僕は思わず眉をひそめる。
「何すんだよ。」
蓮は返事をしない。
ただ、いつもの嫌な笑みを浮かべている。
すごく腹が立つ。
本当に腹が立つ。
「歩けないだろ。」
蓮はそう言いながら六花を抱え直す。
たしかに、六花の足はまだ少し震えていた。
だから反論できない。
反論できないけど腹は立つ。
ものすごく立つ。
六花も六花で、抵抗する気力が残っていないのか、されるがままになっている。
それもなんだか面白くない。
「六花軽いなー。間近で見るとマジ可愛いなー。」
なんて蓮が煽ってくるから、僕はさらに機嫌が悪くなった。
そんな僕を見て、蓮はますます楽しそうに笑う。
殴りたい。
すごく殴りたい。
でも今殴ったら六花が落ちる。
だから我慢する。
すると、少し前を歩いていた翼が振り返った。
「とりあえずここから離れよう。」
その言葉で僕たちはようやく歩き出した。
血生臭い路地を抜ける。
途中、蓮はポケットからウェットティッシュを取り出していた。
さすが準備が良い。
頬や腕、首筋についた返り血を拭く。
翼も同じだった。
僕も服についた血を落としていく。
六花にできるだけ怖い思いをさせないためだった。
だけど、どれだけ拭いても今日の出来事までは消せない。
六花はもう知ってしまった。
僕たちが、黒龍の幹部だということを。
六花は僕たちのことをなんて思うんだろう。
西園寺家本家の令嬢である六花と結婚したいって思ってるやつは政財界に溢れるほどいる。
幸い、西園寺財閥会長の裕作さんは、六花を僕たちの誰かと結婚させようとしているけど、それも、僕たちが暴走族だってことを六花が裕作さんに伝えたら、六花が僕たちのことを嫌ったら、どうなるかわからない。
代わりはいくらでもいるんだから。
こんなことを考えながら、僕の胸は重く沈んでいた。
横から蓮の声がした。
僕が振り返るより早く。
蓮は僕の腕の中にいた六花をひょいと抱き上げる。
「えっ――」
六花が小さく声を漏らす。
そして次の瞬間には。
完全なお姫様抱っこだった。
僕は思わず眉をひそめる。
「何すんだよ。」
蓮は返事をしない。
ただ、いつもの嫌な笑みを浮かべている。
すごく腹が立つ。
本当に腹が立つ。
「歩けないだろ。」
蓮はそう言いながら六花を抱え直す。
たしかに、六花の足はまだ少し震えていた。
だから反論できない。
反論できないけど腹は立つ。
ものすごく立つ。
六花も六花で、抵抗する気力が残っていないのか、されるがままになっている。
それもなんだか面白くない。
「六花軽いなー。間近で見るとマジ可愛いなー。」
なんて蓮が煽ってくるから、僕はさらに機嫌が悪くなった。
そんな僕を見て、蓮はますます楽しそうに笑う。
殴りたい。
すごく殴りたい。
でも今殴ったら六花が落ちる。
だから我慢する。
すると、少し前を歩いていた翼が振り返った。
「とりあえずここから離れよう。」
その言葉で僕たちはようやく歩き出した。
血生臭い路地を抜ける。
途中、蓮はポケットからウェットティッシュを取り出していた。
さすが準備が良い。
頬や腕、首筋についた返り血を拭く。
翼も同じだった。
僕も服についた血を落としていく。
六花にできるだけ怖い思いをさせないためだった。
だけど、どれだけ拭いても今日の出来事までは消せない。
六花はもう知ってしまった。
僕たちが、黒龍の幹部だということを。
六花は僕たちのことをなんて思うんだろう。
西園寺家本家の令嬢である六花と結婚したいって思ってるやつは政財界に溢れるほどいる。
幸い、西園寺財閥会長の裕作さんは、六花を僕たちの誰かと結婚させようとしているけど、それも、僕たちが暴走族だってことを六花が裕作さんに伝えたら、六花が僕たちのことを嫌ったら、どうなるかわからない。
代わりはいくらでもいるんだから。
こんなことを考えながら、僕の胸は重く沈んでいた。
