【新作】財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

総長として仲間は見捨てられない。

バレても自分の経歴に汚点が残って、世間が騒ぎ立てるだけ。

それに、既に祭り会場にいる自分たちの方が他のメンバーよりも早く現場に到着できる。

翼は小さく息を吐く。

そして、蓮と碧へ耳打ちした。

二人もすぐに頷く。

「ごめん。」

翼が私を見る。

「俺らちょっとトイレ行ってくる。」

「分かったわ。」

「ここで待ってて。」

「うん。」

私は疑いもしなかった。


それから5分。

10分。

20分。

さすがに遅い。

私は少し心配になり始めていた。

するとボディーガードの一人が腕時計を見る。

「遅いですね。」

「そうですね……。」

「確認して参ります。」

ボディーガード二人が男子トイレへ向かう。

そして。

数分後。

慌てた様子で戻ってきた。

「お嬢様。」

「はい?」

「翼様たちはトイレ内におりません。」

「え?」

私は目を瞬かせた。

「どういうこと?」

「窓が開いていました。」

私は意味が分からなかった。

窓?

なぜ?

ボディーガード達も困惑している。

「手分けして探します。」

「お願いします。」

二人のボディーガードが走り去る。

残ったのは。

私ともう一人のボディーガードだけだった。

「どうしましょうか。」

私は不安そうに呟く。

「危険ですので単独行動はお控えください。」

「はい。」

私は頷いた。

そして、三人が無事ならいいな、と考えながら、再び祭りの人混みの中へ足を向けた。

この時の私はまだ知らなかった。

翼たちが向かった先で。

黒龍と朱雀による激しい抗争が始まっていることも。

そして、今日この夜、私が三人の大きな秘密を知ることになることも。