【side 碧】
正直に言うと。
僕はその日、少し浮かれていた。
理由は簡単で。
六花が僕たちにタメ口で話してくれるようになったからだ。
「碧くん。」
「なに?」
「それ取って欲しいの」
「りょー。」
みたいな会話が普通に発生する。
今までは。
「碧様。」
「ありがとうございます。」
「ごめんなさい。」
だった。
それも六花らしくて可愛かったけど、敬語は所詮西園寺で厳しく躾けられた賜物、いや、当然の帰結でしかない。
今の方が距離が近い気がするし、年相応でもっと可愛い。
だから嬉しい。
たぶん。
いや絶対。
翼も蓮も嬉しいと思う。
認めないだろうけど。
そんなわけで。
その日の夜。
僕たちはいつも通り溜まり場の倉庫へ向かう準備をるんるんでしていた。
時計は午後11時過ぎ。
道明寺邸の使用人も仕事を終え、別館の自室に戻っている頃だ。
俺は特攻服をリュックへ押し込みながら欠伸をした。
「行くぞ。」
翼が小声で言う。
「りょーかい。」
蓮も頷く。
三人で廊下を忍び足で進む。
何度もやっているので慣れたものだ。
庭へ出る。
監視カメラの死角へ向かう。
塀を乗り越える。
いつもの流れ。
いつも通り。
そのはずだった。
「みんなどうしたの?」
後ろから声がした。
僕は固まった。
完全に固まった。
首が変な角度で止まった。
隣を見る。
蓮も固まっている。
翼も固まっている。
三人とも。
塀の上で。
変な姿勢のまま停止した。
恐る恐る振り返る。
そこには。
白いネグリジェ姿の六花がいた。
「……。」
「……。」
「……。」
僕は思った。
終わった。
人生終わった。
黒龍の総長、副総長、特攻隊長脱退。
御曹司の夜遊びという週刊誌のスクープ。
親戚中から白い目で見られる。
僕たちの自由が奪われる。
マイナスなことが次々と思い浮かび、ぐるんぐるんと頭の中を駆け回る。
ネグリジェ姿の六花はとてつもなく無防備でとてつもなく可愛いが、今はそんなの考えている暇はない。
六花は不思議そうに首を傾げていた。
「こんな時間に何してるの?」
正直に言うと。
僕はその日、少し浮かれていた。
理由は簡単で。
六花が僕たちにタメ口で話してくれるようになったからだ。
「碧くん。」
「なに?」
「それ取って欲しいの」
「りょー。」
みたいな会話が普通に発生する。
今までは。
「碧様。」
「ありがとうございます。」
「ごめんなさい。」
だった。
それも六花らしくて可愛かったけど、敬語は所詮西園寺で厳しく躾けられた賜物、いや、当然の帰結でしかない。
今の方が距離が近い気がするし、年相応でもっと可愛い。
だから嬉しい。
たぶん。
いや絶対。
翼も蓮も嬉しいと思う。
認めないだろうけど。
そんなわけで。
その日の夜。
僕たちはいつも通り溜まり場の倉庫へ向かう準備をるんるんでしていた。
時計は午後11時過ぎ。
道明寺邸の使用人も仕事を終え、別館の自室に戻っている頃だ。
俺は特攻服をリュックへ押し込みながら欠伸をした。
「行くぞ。」
翼が小声で言う。
「りょーかい。」
蓮も頷く。
三人で廊下を忍び足で進む。
何度もやっているので慣れたものだ。
庭へ出る。
監視カメラの死角へ向かう。
塀を乗り越える。
いつもの流れ。
いつも通り。
そのはずだった。
「みんなどうしたの?」
後ろから声がした。
僕は固まった。
完全に固まった。
首が変な角度で止まった。
隣を見る。
蓮も固まっている。
翼も固まっている。
三人とも。
塀の上で。
変な姿勢のまま停止した。
恐る恐る振り返る。
そこには。
白いネグリジェ姿の六花がいた。
「……。」
「……。」
「……。」
僕は思った。
終わった。
人生終わった。
黒龍の総長、副総長、特攻隊長脱退。
御曹司の夜遊びという週刊誌のスクープ。
親戚中から白い目で見られる。
僕たちの自由が奪われる。
マイナスなことが次々と思い浮かび、ぐるんぐるんと頭の中を駆け回る。
ネグリジェ姿の六花はとてつもなく無防備でとてつもなく可愛いが、今はそんなの考えている暇はない。
六花は不思議そうに首を傾げていた。
「こんな時間に何してるの?」
