「りのんー!!!」
遠くから聞こえる声に、私は顔を上げる。
陽奈が、いつものように大きく手を振っていた。
春の光をそのまま集めたみたいな笑顔で、彼女は走ってくる。
「おはよ、りのん!」
息を少し弾ませながら、陽奈は私の横に並んだ。
「今日さ、クラス楽しみじゃない?」
その言葉に、私は小さくうなずく。
「うん。ちょっとドキドキするけど」
「でしょでしょ!でもさ、もし別々でも、いつものとこでご飯たべようね!」
陽奈は何でもないことみたいに笑う。
その軽さが、少しだけ羨ましくなる。
私たちは並んで歩き出す。
いつもの通学路。
いつもの朝。
「ねえ、りのん」
「ん?」
「誰と同じクラスになりたいとかある?」
その質問に、一瞬だけ言葉が詰まる。
「ひなとなれれば…特にはないかな」
そう答えると、陽奈は
「そっかー!ひなもー!」と笑った。
そのまま話題は、昨日見たドラマの話に変わる。

