春は眩しくて、届かない




その時。


ガガッ、とスピーカーが鳴る。



『……水瀬りのんさん』



中庭に放送の声が響いた。



『至急、職員室まで来てください』



ぱちりと瞬きをする。



「……え、わたし?」



陽奈も目を丸くした。



「え、なにしたのりのん」



「してないよ!?」



「ほんとに?」



「ほんと!!」



少し慌てながらお弁当を閉じる。



「なんだろ……」



「進路とかじゃない?」



「うぅ……それなら嫌だなぁ……」



陽奈はくすっと笑った。



「いってらっしゃい!お弁当教室置いておくね」



「うんありがとう!またご飯食べよ!」



わたしは立ち上がり、
制服についた桜の花びらを払う。


春の風が吹く。


その背中を見送りながら、
陽奈はふっと目を細めた。