春は眩しくて、届かない



すると。



「水瀬さん!」



クラスの女子の1人が、
ぱっと肩に手を置いた。



「もっと自信持っていいと思う!」



「え……」



別の子も頷いた。



「だって柏木くん、
水瀬さんのことめちゃくちゃ好きじゃん」



「わかる!!」



「さっきの“待っててね”やばかった!」



「少女漫画のイケメン主人公いたって!!」



わいわい盛り上がる声に、
戸惑ったまま瞬きをする。



「でもわたし……」



「水瀬さんって、ふわふわしてて可愛いし」



「優しいし!」



「男子から普通に人気あるよ?」



「えっ」



初めて聞いたみたいな顔をするりのんに、
女子たちは逆に驚く。



「気づいてなかったの!?」



「柏木くん来る前から、結構見てる男子いたよ?」



りのんは完全に固まった。


そんなの、
知らなかった。


教室に笑い声が広がる。


その中で。


わたしの胸の奥が、
少しだけ軽くなっていることに気づいた。


湊くんは、
ちゃんと“わたし”を見てくれてる。


そう思えたから。