春は眩しくて、届かない




「……りのん?」



りのんは視線を落としたまま、
小さく呟いた。



「なんか……」



「うん」



「湊くんに釣り合ってないなって」



胸の奥がぎゅっと苦しくなる。



「隣歩いてていいのかな、とか……」



その瞬間。


湊くんは少し驚いた顔をして、
それから困ったみたいに笑った。



「なにそれ」



「だって……」



「俺が好きだからいいの」



即答だった。


わたしは思わず顔を上げる。


湊は繋いだ手を軽く引いて、
りのんの近くに寄った。



「釣り合うとかじゃない」



「俺が、りのんと一緒にいたいの」



真っ直ぐすぎる言葉に、
りのんの胸が熱くなる。



「だからそんな顔しないで」



そう言って笑う湊は、
ずるいくらい優しかった。