涼しい風が吹いていた秋。
失恋で泣いていた陽奈と、 何も言えなかった自分。
あの時は、 こんな未来になるなんて思わなかった。
好きな人ができて。
その気持ちを認めて。
親友が、 その恋を笑って応援してくれている。
陽奈はふと、 少しだけ真面目な声になる。
『りのん』
「ん?」
『春までまだ時間あるじゃん?』
「うん」
『だからいっぱい、 柏木くんとちゃんと思い出作りな』
静かな声。
『りのん、 ゆっくり恋するタイプだし』
『ちゃんと“大好き”って思えるまで、 いっぱい隣にいればいいんだよ』
その言葉に、 りのんは小さく笑った。
「……うん」
春はまだ少し遠い。
でも。
雪の降るこの冬も、 きっと大事な途中なんだと思えた。
陽奈がわたしを親友と言ってくれるから、
この世界は少し明るく見える気がする。

