春は眩しくて、届かない



放課後。


夕焼けが校舎をオレンジ色に染める中、
湊とりのんは並んで学校を出た。



「……どこ行く?」



俺は少しだけ考えるように空を見る。



「ちょっと寄りたいとこある」



「ん、いいよ」



ふたりは住宅街を抜けて、
静かな道を歩く。


沈黙はあるのに、
不思議と気まずくなかった。


落ち葉を踏む音だけが、
並んで続いていく。


しばらくして辿り着いたのは、
小さな公園だった。


ブランコと、
少し古いベンチ。


夕暮れの光が、
砂場を淡く照らしている。


周りを見渡して、




「ここ?……」と小さく呟く。



俺はベンチに軽く手をかけながら笑った。



「覚えてる?久々にチューリップみたくて」



「え?」



「……いや、水瀬最近水やりしてるのかなーって」



その声が少しだけ柔らかい。



「たまにきてるよ」



湊は少し迷うみたいに視線を落として、
それから小さく息を吐いた。



「そっか」



風が木を揺らす。