「でも」 「よかったら、柏木くんの口から聞きたいな」 その言葉に、 湊がゆっくり顔を上げる。 真正面から見ると、 少しだけ目が赤かった。 わたしは気づかないふりをする。 湊はしばらく何も言わなかった。 階段の外から、 運動部の掛け声だけが遠く聞こえる。 やがて、 柏木くんが小さく笑った。 乾いた笑い。