春は眩しくて、届かない



昼休み。


中庭のベンチ。


風が木を揺らして、
秋の匂いがゆっくり流れていく。


俺はひとりで座りながら、
落ち着かなくて何度も指を組み直した。


こんなの初めてだった。



(水瀬、遅ぇな……)



そう思った瞬間。


ふと、一年前を思い出した。


母親と揉めて家出してからさまよってた俺に


ホットココアを差し伸べてくれた。


今年になって図書館で時々勉強したテスト期間も。


隣で勉強してる時間は
妙に落ち着いた。


水瀬は、
いつも自然に笑ってくれた。


押しつける感じじゃなくて、
でもちゃんと人をあったかくする優しさを持ってた。


だから気づいたら、
目で追ってた。