春は眩しくて、届かない




「だからさ」



「勝手に“最低な親友”とか決めないで」



「……でも」



「ひなが苦しんでるの見るほうが、今はやだ」



その言葉で、
陽奈はとうとう堪えきれなくなった。


一歩近づいて、
りのんの制服をぎゅっと掴む。



「……っ、ごめ、ごめん……」



子どもみたいに泣く陽奈を見て、
小さく息を吐いた。


それから、
そっと陽奈の頭に手を置く。


秋の夕暮れは静かだった。


失恋の痛みも。
親友を傷つけた罪悪感も。
全部まだ消えていない。


それでも。


泣きながら縋りつく陽奈を見て、
わたしが一番強く思ったのは。



──やっぱり、会えてよかった。



それだけだった。


陽奈はりのんの制服を掴んだまま、しばらく顔を上げられなかった。