先に目を逸らしたのは陽奈だった。
「……ごめんね」
小さな声。
「学校、休んで」
りのんは首を横に振る。
「それは別にいい」
「よくないよ」
陽奈は俯く。
「りのんに心配かけた」
陽奈の涙は、止まらなかった。
「……ごめん」
掠れた声が、夕方の空気に溶ける。
「ごめん、りのん……」
何度も。 壊れたみたいに繰り返す。
わたしは玄関先に立ったまま、動けなかった。
陽奈は袖で涙を拭こうとして、でも全然追いつかない。
「私、りのんが柏木くんのこと気になってるの、知ってた」
その言葉に、りのんの呼吸が止まる。

