任命式が終わり、私は教室へ向かう。
白い姫制服のスカートが春風に揺れた。
廊下ですれ違う生徒たちが会釈してくれる。
そのたびに私は慌てて頭を下げた。
「あ、苺香!」
聞き慣れた声。
振り向くと茉侑がいた。
「茉侑!」
私はほっとした。
親友の顔を見るだけで安心する。
「学園姫おめでと」
「ありがとう」
「緊張してた?」
「すごく……」
「だと思った」
茉侑がくすくす笑う。
「声裏返ってたし」
「うぅ……言わないで」
顔を隠すとさらに笑われた。
ひどい。
でも茉侑らしい。
「でも苺香なら大丈夫」
「そうかな……」
「そうだよ」
茉侑は迷いなく言った。
「苺香は誰より優しいから」
その言葉が嬉しかった。
少しだけ肩の力が抜ける。
「ありがとう」
「どういたしまして」
チャイムが鳴った。
私たちは急いで教室へ向かう。
新しい一年が始まる。
その時はまだ知らなかった。
今日という日が、私の人生を大きく変えることになるなんて。


