紫陽花の短編集物語#5

主人公 白石 透(しらいし とおる)/高2
 家族の前では本音を飲み込むタイプ。
 外ではちゃんと話せるのに、「家族だからこそ言えない」主人公。

父 白石 恒一(こういち)
寡黙で正論派。「家族なんだから分かるだろ」が口癖。

母 白石 真紀(まき)
 気遣い屋だが、問題を深掘りしない。平和を優先するタイプ。

兄 白石 悠真(ゆうま)
 要領がよく、家族の中心人物。悪気なく透を置いていく存在。

妹 白石 結菜(ゆいな)
 素直で甘え上手。透の「言えなさ」に気づいていない。







家族だから、言えなかった① 本音は外にある
【場面:学校・放課後】
友人「透って話しやすいよね」
透「そう?」

【家・夕食】
父・恒一「今日の成績は?」
透「……普通」
兄・悠真「普通って一番ダメじゃん」
悠真の笑い声。
透(心の声)「外では話せるのに、家では言葉が消える。」



家族だから、言えなかった② 分かってる、の一言
【場面:リビング】
母・真紀「透、何かあった?」
透「……別に」
父・恒一「家族なんだから分かるだろ」
透(心の声)「分かってほしかったのは、聞いてもらうことだった。」
自室に行き、自室で透は天井を見る。

家族だから、言えなかった③ 近すぎる距離
【場面:回想・小学生】
透「やりたくない」
父「家族なんだから我慢しろ」

【現在・朝】
妹・結菜「お兄ちゃん、先行くね!」
ドアが閉まる。
透(心の声)「家族は近すぎて、本音を置く場所がない。」

家族だから、言えなかった④ 言えない理由
【場面:夜・キッチン】
兄・悠真「透ってさ、文句言わないよな」
透「……言っても変わらないし」
悠真「家族なんだからさ」
その言葉に、透が俯く。
透(心の声)「壊したくなかった。この“普通”を。」

家族だから、言えなかった⑤ 初めての沈黙
【場面:夕食】
父・恒一「透は将来どうする?」
沈黙。
母・真紀「透?」
透「……分からない」
父「考えが足りない」
透「(立ち上がって)足りないのは、話す時間だよ」
家族、固まる。

家族だから、言えなかった≪最終話≫ それでも、家族
【場面:朝】
母・真紀「昨日は…ごめんね」
透「全部分かってほしいわけじゃない。俺の方こそ、ごめんなさい」

【玄関】
父・恒一「……聞く。これからは」
透、少し驚く。
透(心の声)「家族だから言えなかった。でも、家族だから言ってみようと思った。」


ナレーション「家族だから、言えなかった。でもきっと、家族だから、言える日が来る。」