私に執着しないで人魚のヒロインと結ばれて下さい~あなたの運命の相手は私ではありませんので~

私達はアマリアに近づき、声を掛ける。

「あの…どうかされましたか?」
「実はさっき足を挫いてしまって。それで…」

アマリアの足に視線を向けると足首が赤く腫れ上がっていた。
確かにこれでは歩くのに辛いだろう。

「少し待ってて下さいね」

私は彼女に小さく笑ってそう言うと、すぐさまに海のすぐ側に行き、ハンカチを濡らして固く絞り、アマリアの腫れ上がった足に当てて冷やして手当をしていく。

「あれ?痛くない…」
「良かった。もしかしたら捻挫かもですね。痛みが無くなったとしてもすぐお医者様に見せた方が良いかもです」

「随分と手際が良いな」
「そんなことありませんよ」

手当する私の手元を見て感心するユーリ様に私は笑って誤魔化す。

(思い出すなぁ…。前世では良く弟達の手当をしていたのよね)

前世では小学生の弟達が外で遊ぶ最中に良く擦り傷や怪我をして帰って来る為いつも私が手当をしていて、いつの間にか慣れてしまった。
まさかこんなところで役立つなんて。
でも、アマリアの怪我の手当がすぐに出来たから良かったかも。

(ん?ちょっと待って……。もしかして私フラグ折ってない…………?)

そうだった!!
アマリアを手当するのはユーリ様だわ!

確か小説ではユーリ様は怪我したアマリアを手当して医務室に運び、それを切っ掛けで二人は友人になって、次第に仲を深めていっていた。

アマリアのことが心配でつい手を出してしまったけれど、フラグ折っては意味ないじゃない!
何とかしないと!

「あの、ユーリ様。申し訳ありませんが彼女を医務室に連れて行って下さい。医務室の先生の処置を受けた方が良いかと思います」

「それは良いけど…。きみは一緒に行かないのかい?」

「申し訳ありません。少し用事を思い出してしまいましたので、これで失礼させて頂きたいと思います」
「ハルカ…!」

ユーリ様が止めるのも聞かず、私は逃げるようにその場を後にした。
きっと大丈夫!
私がいなくなればアマリアとユーリ様は上手くいくかもしれない。

この時の私はそう思い、信じていた…───。