私に執着しないで人魚のヒロインと結ばれて下さい~あなたの運命の相手は私ではありませんので~

ユーリ様がいた。
彼はにこやかに、笑顔でアマリアに言った。

「彼女は私のものなので。これ以上彼女に近づかないでもらっても良いですか?」

笑顔だけど……。
全然目が笑ってない。
むしろ怖い。

そんな彼に私はやんわりと言う。
「あ、あの…ユーリ様。そんな言い方は…。彼女は私の友人なので…」

「たとえ友人といえど…」
ユーリ様は私の手を握り、私の顔を覗き込みながら言った。

「僕はきみに近づく者は容赦しないと決めているんです。たとえそれが女性でもね」

「酷いです!」
アマリアは強い口調ではっきりと告げた。

どうしよう…!
まさか、またアマリアにユーリ様との仲を誤解されたのでは…!!
やっとこの前誤解が解けたばかりなのに!!

内心頭を抱える私。
だが、彼女はユーリ様から私を引き離すように私の腕を掴んだ。
思いのほか強引な強さで。

「ハルカは私のですよ。あなたより私の方がハルカのことを深く、ふかーく理解しているのですから。それに彼女はあなたのことなんて興味無いのです」
「……………………」

アマリアの言葉にユーリ様は笑顔を作っているがピキっと青筋を立てているように見えた。

マズイ…
これは怒っているかもしれない…。

また彼が何も言葉を発しないことが逆に怖い…。
ユーリ様は笑顔で私の肩を掴み、自分の方に引き寄せるとアマリアに対して言う。

「あなたは知らないとは思いますが、私達には幼い頃から築きあげてきた絆があるのです。それも誰も入り込む余地がないほどに…ね」

「でも、私だって…」

「ちょっと待って下さい!」

静かに言い争う二人の間に私は割ってはいった。
そもそも、どうしてこうなったのか分からない。
アマリアはユーリ様のことが好きなはずなのに…。
なぜ彼女達は私の奪い合いをやっているのだろうか。

「アマリア…あなた、どうして私に…その…かまうの?」

ユーリ様の前で彼女の気持ちを晒してしまうわけにはいかず、私は言葉を濁しながらアマリアに訊ねる。
そんな私に対して彼女はキョトンとした表情で、さも当たり前のように言った。

「だって、それは私があなたを好きだから」
「好きってライクの意味だよね?友人として好きってことでしょう?だって、あなたは…」

戸惑う私を見てアマリアは私の手を握り、唇を静かに動かす。

「恋愛での好きってことよ」

にっこりと極上の笑みを浮かべる。
それは誰もが魅了されてしまう。
そんな笑みを。

(えっ…だって、アマリアはユーリ様のことを想っていたから、あんなにも傷ついていた。なのに、どうして私を…!どうしよう理解が追いつかない…!!)