俺様鉄面皮上司が偽装彼氏になりまして。

「……たぶん、一時間後くらいに、Nさんの社員が挨拶に来るはずだ。受付を頼む」
 そしてすっかり、ワイシャツに着替えた上司は、コーヒーの香りを漂わせながらあたしの横を通り抜け、颯爽と、あの戦場へと戻っていく。悲壮感など微塵も漂わせずに。
 その大きくて白い背中を見ているとぎゅ、っと胸の奥が切なくなるのを感じる。
 あいつと同じ男という人種。
 毛嫌いしていたはずなのに。浮気をする性別。うんざりだ、って思っているはずなのに……いつもいつも、時枝さんと接するたびに、いい意味で裏切られてしまう。あたしの絶望が。