キキィーーーーーーーーッ、鋭いブレーキ音が鼓膜を貫く。
春風があたしを包み込むように吹き荒れる。
そして、焦げた匂いが鼻の奥をつんと刺激した。
ブルルンブルルンと、規則的に流れるエンジン音を聞いて、まぶたを持ち上げる。バイクのタイヤが足下数センチに迫っていた。タイヤ痕を残したバイクはゴムが焼ける匂いを漂わせ、地面から白い煙が立ちのぼる。
生きてる。
あたし、……生きてる。
体の力が抜ける。
コンクリートの固さを感じて、ぐたりと道路に寝そべった。
「おい」
エンジン音とともに響き渡った、低い声。
重たい頭を動かして、声の主に視線を向ける。バイクに股がった彼は、フルフェイスのシールドを開けて、あたしを見下ろした。
眠たげなココアブラウンの瞳と視線を交える。
「どけよ、轢くぞ」
……は?
あっけにとられて瞬きをするあたしに、彼はハンドルを強く握って脅すようにバイクのうなり声を響かせた。
「どけですって!?ほぉら、どかしてみせなさいよ?」
あたしはどんと胸を張って言った。
「どかせられるもんならね!」
「地べたに寝転がってる女が、よく偉そうに言えたもんだな」
「腰が抜けて、立てないのよ!!あんたのせいで!!」
彼の舌打ちが響き渡った。
