『俺が連れてってあげる』
その言葉にあたしはジャングルジムから飛び降りた。
フワッとスカートが舞い、スタッと地面に着地する。足のうらがジンジンとしびれた。それでも、足の裏の衝撃に顔を歪める隙を見せたくはなくて、あたしはマスクマンを飄々と見据え、手のひらを差し出した。
『連れてってくれなくていいから、お金だけちょうだい』
『それって、新手のカツアゲ?』
ハニー色の髪が揺らめく。
地面に立てば、マスクマンは意外と背が高かった。サングラス越しの瞳を探ろうとした時に、気づいたのだ。
『絶対、死ぬ気なかったよね。君の逢いたい人ってだれ?』
マスクマンの問いかけに、ポケットから1枚の写真を取り出した。この写真を見れば、マスクマンも諦めるだろう。古びてシワクチャになった写真を受け取って、マスクマンが静かに呟いた。
『KANATAくんに、逢いたいの?それにしても、この写真って10年くらい前のだね』
『うるさいわね。返してよ』
写真を奪い返して、ポケットにしまった。
『あたしはKANATAに会って、夢を叶えるの。だから、その夢が叶わないなら生きてる意味なんてないの』
あたしは空を見上げた。
青く澄み切った空の上には神様がいるんだろうか。
いるなら、あたしの望みを叶えてほしい。
KANATAに逢いたい。
『じゃぁ、尚更俺と一緒においで』
『は?誰があんたと一緒に……』
振り返ったあたしは大きく目を見開いた。
そして、こう叫ぶのだ。
『だれ!!!』
