逃げて、逃げて、逃げて。
ぶつかって、ころんで、転がって。
都会のど真ん中、地面に這いつくばって、動けない。
ブオオオオオオオオオオッ!!!
地面に響き渡ったエンジン音が、体を震わせる。勢いよく振り返ると、自分の髪が風に煽られた。そして、大きく目を見開く。
あたしが倒れていたのは、道路のど真ん中だった。
バイクはスピードにのって、向かって来る。
人々はバイクを避けるように、2手に分かれて、あたしに通じる一本道を作りあげた。
早く逃げなきゃ……っ。
早く逃げなきゃ、轢かれる……っ!!
でも、打ち付けた体は、思うように動かない。
体を反転させて、手足をばたつかせ、無駄であろうとも、後ずさる。頭に”死”の文字が浮かび上がった。
やだ。死にたくない。
やっとKANATAに逢えるのに……っ。
KANATAに逢うために、ここまで来たのに……っ。
「止まれええええええ!!!!!」
思うように動かない体を地面に這わせて、渾身の力を込めて叫ぶ。春風が吹き荒れ、あたしの叫び声は飲まれていった。
自分が受ける衝撃を予想して、強く目を瞑ることしか出来なかったんだ。
