小悪魔DOLL【Ⅰ】






逃げて、逃げて、逃げて。

ぶつかって、ころんで、転がって。

都会のど真ん中、地面に這いつくばって、動けない。


ブオオオオオオオオオオッ!!!

地面に響き渡ったエンジン音が、体を震わせる。勢いよく振り返ると、自分の髪が風に煽られた。そして、大きく目を見開く。




あたしが倒れていたのは、道路のど真ん中だった。

バイクはスピードにのって、向かって来る。

人々はバイクを避けるように、2手に分かれて、あたしに通じる一本道を作りあげた。



早く逃げなきゃ……っ。

早く逃げなきゃ、轢かれる……っ!!



でも、打ち付けた体は、思うように動かない。

体を反転させて、手足をばたつかせ、無駄であろうとも、後ずさる。頭に”死”の文字が浮かび上がった。




やだ。死にたくない。

やっとKANATAに逢えるのに……っ。

KANATAに逢うために、ここまで来たのに……っ。




「止まれええええええ!!!!!」

思うように動かない体を地面に這わせて、渾身の力を込めて叫ぶ。春風が吹き荒れ、あたしの叫び声は飲まれていった。


自分が受ける衝撃を予想して、強く目を瞑ることしか出来なかったんだ。