ぽふぽふ王子様は異世界グルメをご所望です!

 あれ、……でも。
 よく考えたら、セデスさん、声からするに男で。……ひいい、狼とはいえ、男の人に思いっきり抱き着いて寝ていたわたしってひぃい……不埒! 
「嗅いだことのないようないい香りがするわね」
 ニャネの一言で我に返る。何事もなかったかのようなすました顔をし、まな板のうえに、どん! 
 あらかじめ濡れた布巾を用意しておいたのでそれで焼き立てのステーキ肉を包み込む。
 本当は、アルミホイルが欲しかったところだが、代用! 
 そしてフライパンを洗って冷やしてまたかんかんにしてから焼く。
「おいまだか。……二枚焼けているのなら一枚ずつおれとハルフが食うぞ」
「あぁ、ちょぉっと、待ってくださいなー」とわたしは片手をあげる。「ステーキ肉はこうして置いておくといい感じに火が通るので、おすこし、お待ちくださいな」
「待てとはどのくらいの時間を指す」
「そうですねー。……そちらの砂時計の砂が落ちきるくらいのお時間です」
 ダイニングテーブルのうえにある砂時計を意識して、おそらくそうだろうと言ってみると。
 ちょっとだけ様子を見て笑った。
 砂時計にガン詰めの、銀の狼と、まぁるいおじさん。