ぽふぽふ王子様は異世界グルメをご所望です!

 フライパンから煙が立った頃に、じゅわぁ、と脂身を投入! 煙が上がり、匂いが立ち、「おお、なんだなんだ!」「いい香りがするぞ!」と男たちの声が立つ。
 ふふん。お楽しみはこれからなのです。
 湧き上がる彼らの声をBGMに、いざ、ステーキ肉をどぼん! 
 うおおおお! 観客の興奮は頂点に達する。わたしも早く食べたーい! 
 じゅわぁ、と思いっきり表面に焼き色をつけ、……火の温度はなるべく下げたくないので、一度に焼くのは二枚まで。片面に焦げ色をつけてから、トングでうらっ返し、赤ワインを入れて蓋をする! 
「なんだなんだ!」火が立ち、ワインの香りがするので男たちが騒ぐ。「なんだ! なんの魔術を使ったんだあやつめ! 」
 ふん。……わたしの名すら知らないのに偉そうに。
 でも、……狼さん、いい香りがした……生まれたての赤ちゃんみたいに無垢で……。
 わたしの知る野性的な雄の香りとはまた別物で。
 見た目がケモノケモノしているわりに、妙に爽やかですっきりと、精錬な香りがして……。
 うう。抱き着いた感触もよかったなぁ。
 毛も、ふっさふさで、鼻の穴にまで入って、昇天しそうだったよ。