余所者-よそもの-【 2 】




「――…出ていけっ!!!!」



フロアから死角にあたる、正面出入口の細い通路。

そこに見えるバンの背中は、まるで縄張りを荒らされた狂犬のように毛を逆立てていて、前方に向かって激しく威嚇をしている。


……誰か、入ってきた?

開店前のこの時間。
一目見て、バンが噛みつく相手。


まさか――…


「いやぁ。お邪魔します」


照明のまだ点いていない、薄暗い奥の通路から。
闇から浮かぶようにして姿を現したのは、野間だった。


ペコペコと会釈をしながら歩いてきて、立ちはだかるバンのすぐ目の前でピタリと足を止める。


「……帰れ」

「すません、すません。大した用事じゃねぇんで」

「ここに、入るな」

「まぁまぁ、そう言わず」

「それ以上、こっちに来るなッ!!」

「僕の目的なんてすぐですから。……ちょっと、大人しくしといてもらえます?」


野間の細い目が、刃物のように鋭く光る。

低く唸り続けるバンは、牙を剝いた表情のままその拳を振り上げた。


「これ以上寄るなっつってんだろうが……ッ!!!」

「あー……おけっす。前にあんだけボコられて、まだ懲りてねぇんすね」


呆れたように吐き捨てた野間は、ゆっくりと肩を回す。
その右腕に昇る龍の刺青は、今にも暴れだそうと躍動しているように見えた。