それから。
夜もすっかり更けた頃。
私は、そっとベッドを抜け出した。
一睡もせず、シドが寝入るのを待っていた。
起こさないよう、物音を立てずに服を着る。
荷物を持ち、一人Re:bidoを出た。
スマホで時間を確認すれば、深夜二時。
AnBarはまだ営業している時間。
早く自分の部屋に帰って布団の中に丸まりたいけれど、今帰ればサンコンやバンが居る。
……今は、顔を合わせられない。
わずかに腫れた頬を指先でなぞりながら、ゆっくりとシトウを歩く。
細い路地を抜け、シトウの大通りに出る一本手前の筋に差し掛かったときだった。
──カシャ。
深夜の喧騒に紛れて、シャッター音が鳴る。
俯いていた顔を上げれば、一眼レフを構えた、一つ結びの女の子。
「………」
「………」
目が合えば、女の子は何事もなかったかのように踵を返し、歩きだす。
私は慌ててその背中を追った。


