「………」
怖い。
触らないで。
あっち行って。
すると低い声が、ぽつりと落ちてきた。
「悪かった」
「………」
「怖がらせた」
「………」
「俺のせいで、お前が……」
「……シド?」
「守ってやれなかった」
シドは私の髪を撫でた。
後ろから覆うように抱きしめ、首筋に唇を触れさせる。
次の瞬間、息が止まるくらいの激痛が走った。
「────……っ」
触れていた口が、首筋に、強く歯を立てていた。
「な……で」
なんで?
噛まれた首が燃えるように熱くて、痛い。
身体をひっくり返された。
交わった視線は、やっぱり私を見ているようで、見ていない。
「シド?」
「………」
「シド……」
ねぇ、なんで?
シドは、私が何度名前を呼んでも、答えてくれなかった。
いつもみたいに、私に何かを求めさせることもない。
息つく間も与えてくれない。
ただ、一方的に滾る熱を冷ますように、私を抱いていた。
身体を揺さぶられるたび、シドが押し付けてくる熱とは裏腹に、私の身体はどんどん冷えた。


