余所者-よそもの-【 2 】



やがて床に散らばったガラス片の半分ほどが片付いた頃。

多夜がRe:bidoに入ってきた。


「多夜さん、乙っす。……あれ、紫藤さんは?」

「後処理中」


「紫藤さん自らですか……。で、どこのヤツらでした?」

「さぁ」

「え?吐かせたんじゃないんですか」

「吐かせる前にリョウが壊した」

「ああ、理解っす。紫藤さん、相当ブチっすね」


どうやら男たちは全員掴まったらしい。
シドは男たちの後処理をしていて、相当怒っているらしい。

二人の淡々とした会話から、断片的に情報を拾った。

とりあえずシドはまだ当分ここに帰ってきそうにない。


ふいに視線を感じて、目を向けた。

目が合った瞬間、多夜は「女は?」と、それだけ野間に尋ねた。


「殴られただけっす。大きな怪我じゃなさそう」

「………」


「今日は、帰します」


野間がそう言った途端、多夜の尖った耳先がピクリと動いた。


「駄目だ」

「……言うと思った。多夜さん、急がないでください」

「………」


「それは悪手だ。絶対にいい方に転びません」

「………」


「断言します。今じゃない」


「野間」

「……はい」


「女は帰すな。いいな?」

「………」


何の話をしているのか、さっぱりわからなかった。

とにかく、私は帰っちゃダメらしい。


多夜はそれ以上何も言わず、店を出て行った。

残った野間は、どこか申し訳なさそうに掃除を続けていた。