余所者-よそもの-【 2 】



「……お前は」

口の端に垂れた雫を服の袖で乱暴に拭った、そのアオイの表情は怪しげだった。
夜の闇の中、その鋭い目つきは光っているように見えた。


「このままだと、引き返せなくなるぞ」

「……何の話?」

「私はずっと見ている」

「何を……」

「この、シトウの街を」


まただ。
またアオイは、わからない言葉で私に何かを警告してくる。


「引き返す気がないなら、いい」

「………」

「でも、そんなツラでシトウを歩くな。街が汚れる」


どういう意味だ。
もっとちゃんと、わかるように教えてよ。


口を開こうとすれば、アオイは「たぶん、頃合いだ」と呟き、立ち上がる。


「帰るの?一人じゃ危ないよ。私送っていくから」

「送られるのはお前の方だろ」

「どういう……、」


アオイが言い放った直後、遠くの方からバイクの音が近づいてきた。

どこから。後ろから?


振り返れば、そこには見覚えのある黒くて大きな二輪車。

「カナコさん!一人でリビドーを出ないでください」