ちりとりとホウキを持って、静かに片付けを始めた野間の背中に尋ねる。
「ここって安全な場所じゃなかったの?」
「普段は……そうなんですけどね」
野間はホウキを動かす手を止めた。
「奇跡的に最悪な状況が重なりまして」
「奇跡?」
「シトウの真ん中でデッカイ騒動があって、ここの見張りも慣れない連中に代わってた。そこをあっさり突破されました」
騒動に人手を取られて、守りが手薄になっていたってことか。
「こういうことってよくあるの?」
「……全くないとは言い切れないってのが、よりによって今日、証明されてしまいましたね」
これまではなかったんだ……。
「なんだか、シトウっぽいね」
「……巻き込んじゃって、すみません」
「どうして野間くんが謝るの」
野間は、なんとも痛ましそうな顔で私を見る。
殴られたからなのか。
怖い思いをさせたからなのか。
どちらにしても、シトウの人にもこんな気遣いがあるなんて、ちょっと意外。
『殴り殴られなんてこの街じゃ日常茶飯事だ』って、誰かが言ってたから。


