野間の肩に掴まり、とぼとぼと歩く。
Re:bidoに入るなり、野間は「あーあ……」と大きな声で嘆いた。
むせ返るような酒の匂いが鼻をついた。
足の踏み場もない。
床一面に散らばったガラスの破片と、流れ出た酒。
チェアは横倒しになり、カウンターにはいくつもの大きなへこみが残っていた。
野間は倒れたチェアを起こしながら、ぽつりと呟いた。
「……死人が出るヤツだ」
私には聞かせないつもりだったんだろうけど、聞こえてしまった。
「ひとまず、座ってください」
割れたガラスや酒瓶をパキパキと踏み鳴らしながら中へ進み、促されるまま椅子に腰かけた。
カウンターの内側から差し出された、氷を包んだおしぼり。
受け取って、ズキズキと痛む頬に当てる。
「他、どっか殴られたり、痛むところはありますか?」
「殴られたけど、手当てするほどでもないから大丈夫」
「一応聞くっすけど、殴られただけ、ですよね?」
「うん」
「よかった……」
そう言った野間は、言葉とは裏腹に落ち着かない様子だった。
それほどに大変なことが起きてしまったのか。


