余所者-よそもの-【 2 】



野間の肩に掴まり、とぼとぼと歩く。

Re:bidoに入るなり、野間は「あーあ……」と大きな声で嘆いた。


むせ返るような酒の匂いが鼻をついた。
足の踏み場もない。

床一面に散らばったガラスの破片と、流れ出た酒。
チェアは横倒しになり、カウンターにはいくつもの大きなへこみが残っていた。


野間は倒れたチェアを起こしながら、ぽつりと呟いた。

「……死人が出るヤツだ」

私には聞かせないつもりだったんだろうけど、聞こえてしまった。


「ひとまず、座ってください」

割れたガラスや酒瓶をパキパキと踏み鳴らしながら中へ進み、促されるまま椅子に腰かけた。


カウンターの内側から差し出された、氷を包んだおしぼり。

受け取って、ズキズキと痛む頬に当てる。


「他、どっか殴られたり、痛むところはありますか?」

「殴られたけど、手当てするほどでもないから大丈夫」


「一応聞くっすけど、殴られただけ、ですよね?」

「うん」

「よかった……」


そう言った野間は、言葉とは裏腹に落ち着かない様子だった。

それほどに大変なことが起きてしまったのか。