「………」
「………」
彼女はとても勿体ぶった。
私は固く結ばれた口が開くのをじっと待った。
「……ォイ」
「え?何、聞こえな……」
「ア・オ・イ!」
恥じらうように自分の名前を言う彼女は、アオイ。
「アオイちゃんっていうのね。私カナコ」
「用は済んだろ。じゃあな」
「ねえ、アオイちゃん」
「………」
「ねぇねぇ」
「………」
「アオイちゃん」
「……うるさいなお前ッ!」
スタスタと歩き出すアオイの真横にぴったりとついて歩き、何度か呼びかければ、鬱陶しそうにこちらを振り返った。
「もう少し私に時間くれない?質問し合うとかじゃなくて、普通に話したい」
「……却下」
「嫌なことは答えなくていいし、無視してくれていいから」
「全部シカトする」
「それでいい。私、喉が乾いてて。ちょっとそこでお茶しようよ」
通りがかったコインパーキングの、車の止まっていないスペースを指さした。
「………」
アオイは睨みつけるようにして見てきたけれど、自販機にお金を入れて「何がいい?」って尋ねれば「お茶」と短く返してくれた。
自分も同じ緑茶を買って、タイヤ止めのコンクリートブロックの上に腰を下ろす。

